当院ではマイクロスコープ精密治療をお勧めしております。肉眼では確認困難な細部までしっかり時間をかけて
治療していきます。ラバーダム防湿を行いできる限り感染を予防していきます。

★マイクロスコープとは

約4倍〜20倍まで視野を拡大できる顕微鏡です。耳鼻科や眼科などでも用いられていて、歯科においては特に根管治療の際などに欠かせない機材となっております。マイクロスコープを活用することにより、明るく広い視野で歯牙を見ることができ治療の成功率が格段に上がります。また治療の内容を録画して説明することにより、細部まで理解しやすく治療の不安が軽減できます。また、歯周ポケット内の歯石や歯の表面のデコボコ、詰め物・被せ物の適合状態を確認する際にもマイクロスコープが役立ち、より正確な診断精密な治療が可能になります。

★根管治療とは

大きな虫歯や外傷などが原因で歯の神経が炎症や感染を起こした時に必要になる治療のことを「根管治療(歯内療法)」といいます。根管治療の目的は、歯の根の中に入ってしまった細菌をできる限り取り除き、新たな細菌の侵入を防ぐ為に封鎖する事です。この過程が非常に難しく、通常の保険制度を使った治療では成功率が約30%~50%と結論付けられています。根管治療における成功とは、再発しないことを指します。再発し根管治療を繰り返した果ては抜歯です。当院では、できる限り生涯自分の歯で噛んで頂きたい考え再発させない・根の治療を繰り返さないための治療を推奨しております。

★神経の役割

歯髄は、酸素や栄養を歯に供給する重要な役割を担っているほか、細菌が内部に侵入するのを防ぐ役割があります。歯髄を取り除くと歯がもろくなり割れやすくなったり、根本から折れてしまったりと、歯を失うリスク要因の一つになります。

★根管治療が必要になるまで

歯髄は表面のエナメル質と呼ばれる硬い組織に覆われています。虫歯になっても、エナメル質もしくは、その下にある象牙質にとどまっている状態ではまだ歯髄は取らず、詰め物や被せ物で対応します。エナメル質や象牙質を通り越し虫歯菌が歯髄にまで達してしまうと、歯髄を取り除く根管治療が必要になります。また、一度根管治療を行った歯が炎症を起こし、再度根管治療が必要になることがあります。この場合は既に歯髄を取り除いているため、痛みをほとんど感じない方が多く、レントゲンを撮影して初めて再発に気づく事もあります。再根管治療は、より難易度が上がるため、成功率が高いマイクロスコープ方根管治療が求められます。

★成功率を上げるために必要なこと

・拡大下で細菌を出来る限り取り除く
・根管治療を無菌的な状態で行う
・新たな細菌の侵入を防ぐため、根管内を特殊な薬剤でしっかり封鎖する
・土台を耐久性の高い物で作製する
・CT撮影(3次元的レントゲン)を行い根の状態を診断する

★マイクロスコープを使用し根管内を20倍に拡大

マイクロスコープ顕微鏡を見ながら根管治療を行います。手さぐりの治療ではなく、歯の内部を見て治療ができるため感染部の取り残しを減らすことができます。

★唾液や細菌の侵入を防ぎ無菌状態での治療

治療部位にゴムのシートをかけた状態で治療を行います。同時に、治療中に使用する薬剤や洗い流した細菌が口腔内に侵入するのを防ぐ役割があります。※ラテックスアレルギー(ゴム)の方はお申し出ください。アレルギー対応のシートを使用します。

★封鎖性が高く、殺菌効果が持続する薬で根管内を封鎖

歯髄を取り除くと根管内は空洞になります。この空洞に隙間があると、被せ物の隙間や根尖部から細菌が入り易くなり再度感染を起こすリスクが高くなります。当院ではウェルパルプ、MTA等の薬を使用しています。硬く固まる性質があり殺菌効果が持続するため、根管の再感染を防ぐことができます。

★耐久性の高い土台の作製

根管治療を行った際には、歯質が少なくなり破折のリスクが高くなります。当院ではグラスファイバーポストを用いて、土台を作りその上に被せ物を装着します。根管治療が成功していても、土台や被せ物の耐久性が低いと成功率が低くなりますので土台との接着が鍵になります。

★CT検査

CT(3次元レントゲン)を撮影し根管の形態や骨の状態を分析します。通常のレントゲンだけでは見えない歯の内部や断面を、立体的に見ることができます。顕微鏡と合わせてCTを見ながら治療を進めます。術中術後にも撮影することがあります。

★治療の進め方

被せ物・虫歯の除去

特殊な薬剤で虫歯を染め出し、顕微鏡を見ながら丁寧に虫歯を除去します。再治療の場合は、被せ物や土台を外す処置から行います。

隔壁

虫歯により崩壊した歯の周りに壁を作ります。この壁によって、根管への唾液・細菌の侵入を妨げ、無菌的に根管治療を行うための準備ができます。

歯髄除去・薬の除去

ゴムのシートをかけて無菌的な状態を作り、歯髄を除去します。再治療の場合は、前の治療で詰めた薬を取り除きます。その後、根管内の虫歯を取り除き消毒を繰り返します(1~5回)。根管の数や形態により消毒の回数は前後します。

特殊な薬剤で根管の封鎖
根管内の消毒を十分に行った後、空洞になった根管に薬を詰めます。隙間を最小限にとどめ、殺菌効果が持続する特殊な薬剤で封鎖します。レントゲンを撮影し確認します。
耐久性の高い土台の築造
根管に詰めた薬剤が固まっている事を確認し土台を作ります(ファイバーポスト)。歯質や歯髄を失った歯は弱くなり折れる原因が高いため、耐久性の高い土台の築造が重要です。
※根管治療だけでは治癒しない場合に、下記の外科的処置を行う可能性があります。

★歯根端切除術

根管治療を行っても、根管の先に溜まった膿が縮小しない場合に行う外科処置です。歯茎を切開し根の先端の膿を取り除きます。

★クラウンレングスニング・エクストリュージョン(歯冠延長術)

被せ物を装着するのに十分な歯質が足りない場合に行う外科矯正処置です。虫歯が大きく、歯茎の下まで歯質が欠落していると根管治療が成功しても被せ物が入れられないため抜歯となります。その場合に十分な歯質を確保するため、歯肉と骨を削るクラウンレングスニングを行います。また埋まっている歯を引っ張り出すエクストリュージョンを行います。

 

★治療レベル

治療前の検査により、成功率を予測することができます。下記の治療レベルを参考に治療法を選択してください。

治療レベル 自費治療の成功率 保険治療の成功率
レベル1【歯髄が生きている状態での除去】 95% 50%
レベル2【歯髄が死んでいる状態での除去】 90% 50%
レベル3【再感染根管治療】 70% 30%
レベル4【再感染根管治療 破折のリスクあり】 50% 抜歯
レベル5【治療不可・抜歯】 0% 抜歯

★マイクロスコープ精密治療の費用(グラスファイバーポスト込み)

前歯 1歯 88,000円
小臼歯 1歯 110,000円
大臼歯 1歯 132.000円
再診料(治療各) 1回 3,300円
CT撮影 1回 5,500円
仮歯 (必要に応じて ) 1歯 3,300円
外科処置 (必要に応じて ) 1歯 55,000円
被せ物(種類により金額が異なります) 1歯 33,000円~165,000円
症例1: 60代男性 前歯が違和感ある。3回根管治療後3か月後に補綴。
症例2:30代女性 奥歯が疲れると腫れる。パーフォレーション(穴)や破折の可能性も説明。
症例3:X‐rayで根尖に母指頭大の透過像を認める。症状なし。治療開始4か月後、根尖の骨が出来てきているのが確認できる。
症例4:40代女性 治療の続き希望 歯茎腫れあり 痛みなし